次世代資産運用ガイド

テクノロジー投資における分散投資の考え方:ロボアドと暗号資産の活用

Tags: テクノロジー投資, 分散投資, ロボアド, 暗号資産, 資産形成

テクノロジー投資と分散投資:リスクを抑えるための基本

資産形成に関心はあるものの、「何から始めれば良いか分からない」「リスクが怖い」と感じている方は少なくありません。特に、ロボアドや暗号資産といった新しいテクノロジーを活用した投資手法は、その仕組みやリスクが分かりにくいと感じることもあるでしょう。

資産運用において、リスクを管理するための非常に重要な考え方に「分散投資」があります。この考え方は、テクノロジーを活用した投資においても例外ではありません。この記事では、投資初心者の方に向けて、分散投資の基本と、ロボアドや暗号資産がどのように分散投資に役立つのか、また活用する上での注意点について分かりやすく解説します。

分散投資とは?なぜ資産運用で重要視されるのか

分散投資とは、投資対象を一つのものに集中させるのではなく、複数の異なるものに分けて投資することです。これは「卵を一つのカゴに盛るな」という格言によく例えられます。一つのカゴに全ての卵を入れてしまうと、もしそのカゴを落としてしまったら、全ての卵が割れてしまう可能性があります。しかし、複数のカゴに分けて入れておけば、たとえ一つのカゴを落としても、他のカゴの卵は無事である可能性が高まります。

資産運用における分散投資も同様です。特定の国や地域の株、あるいは特定の業種の企業、あるいは特定の種類の資産(例えば暗号資産だけ)に集中的に投資していると、その対象が大きな損失を出した場合に、資産全体が大きなダメージを受けるリスクが高まります。

しかし、投資対象を国内外の株式、債券、不動産投資信託(REIT)、そしてテクノロジー関連資産など、性質の異なる複数の資産クラスに分散したり、複数の銘柄に分散したりすることで、どれか一つが値下がりしても、他の値動きの影響を抑え、資産全体の値動きの変動を小さくする(リスクを低減する)効果が期待できます。もちろん、分散投資をしても投資にリスクが全くなくなるわけではありませんが、予測不能な市場の変動に対する備えとしては、非常に有効な手段と考えられています。

ロボアドが実現する分散投資

ロボアドバイザー(ロボアド)は、資産運用の専門家のアドバイスを人工知能やアルゴリズムを活用して提供し、ポートフォリオの提案から実際の運用、さらにはリバランスまでを自動で行ってくれるサービスです。多くのロボアドサービスは、この分散投資の考え方をサービスの中心に置いています。

ロボアドにおける分散投資の仕組み

多くのロボアドは、以下のような形で分散投資を行います。

  1. 複数の資産クラスへの分散: 国内・海外の株式、債券、REIT(不動産投資信託)、金(ゴールド)など、値動きの異なる多様な資産クラスに投資します。これにより、特定の資産クラスが不調でも、他の資産クラスがそれをカバーする可能性があります。
  2. 複数地域・国への分散: 世界中の多様な地域や国の資産に投資することで、特定の国・地域の経済情勢や政治リスクに影響されすぎないようにします。
  3. 複数の銘柄への分散: 各資産クラスにおいても、特定の企業や発行体に集中せず、分散された投資信託(ETFなど)を通じて多数の銘柄に投資します。

ロボアドを利用する大きなメリットは、これらの分散投資を、投資家自身の知識や手間なく、自動で実行してくれる点にあります。自分で個別の株式や投資信託を選んで分散投資を行うのは、多くの知識と時間が必要ですが、ロボアドは専門的な知見に基づいて自動的に最適なポートフォリオを構築し、維持してくれます。これは、投資初心者にとって、分散投資というリスク管理の手法を手軽に取り入れる有効な方法と言えるでしょう。

ただし、ロボアドサービスによって分散の程度や対象は異なります。また、分散投資を行っても、市場全体が下落するような局面では、資産価値が下落するリスクは存在します。

暗号資産投資と分散投資の考え方

暗号資産(仮想通貨)は、ビットコインやイーサリアムを始めとして、非常に多くの種類が存在します。暗号資産投資においても、分散投資の考え方は重要です。

暗号資産内での分散投資

暗号資産投資における分散投資の一つは、一つの種類の暗号資産に集中せず、複数の種類の暗号資産に分けて投資することです。例えば、ビットコインだけに全資産を投じるのではなく、イーサリアムやその他の将来性が見込まれるアルトコインにも投資するといった方法が考えられます。

しかし、暗号資産全体は、株式や債券といった伝統的な資産クラスとは異なる値動きをする傾向があります。特に値動き(ボラティリティ)が非常に大きいため、暗号資産内での分散投資だけでは、暗号資産市場全体が大きく下落した場合のリスクを十分に抑えられない可能性があります。

暗号資産と他の資産クラスを組み合わせた分散投資

一部の専門家は、暗号資産が株式や債券といった伝統的な資産クラスとは異なる値動きをする性質(非相関性)を持つ可能性がある点に着目し、ポートフォリオの一部に組み入れることで、資産全体のリスク低減やリターン向上に繋がる可能性を指摘しています。ただし、これはあくまで可能性であり、暗号資産市場の歴史はまだ浅く、値動きも非常に大きいため、その効果は限定的である可能性も十分にあります。

暗号資産は新しい技術に基づいた資産であり、その価値はまだ確立されていません。そのため、投資する際は、失っても生活に影響が出ない範囲の資金で行うことが極めて重要です。暗号資産への投資は、高いリターンの可能性がある一方で、非常に高いリスクも伴うことを十分に理解しておく必要があります。

ロボアドと暗号資産を組み合わせた分散投資は有効か?

ロボアドと暗号資産は、それぞれ異なる特徴を持つ資産運用手法です。ロボアドは多様な伝統的資産クラスへの分散投資を自動で行うことを得意とし、比較的安定した運用を目指す傾向があります。一方、暗号資産は値動きが大きく、他の資産クラスとは異なる動きをする可能性があります。

これらの特徴を踏まえると、ロボアドと暗号資産を組み合わせることは、さらに幅広い資産クラスへの分散という意味では有効な考え方の一つと言えます。例えば、ポートフォリオの大部分をロボアドによる分散投資に充てつつ、ごく一部の資金を暗号資産に投じることで、全体の分散効果を高めつつ、暗号資産市場の成長の恩恵を得る可能性を追求するといった考え方です。

ただし、この組み合わせ投資を行う際には、以下の点に特に注意が必要です。

分散投資を意識した始め方・注意点

テクノロジーを活用した資産運用を始める際に、分散投資の考え方を取り入れるための具体的なステップや注意点をまとめます。

  1. 自身の投資目的とリスク許容度を確認する: なぜ資産運用をするのか(老後資金、教育資金など)、どのくらいの期間運用するのか、そしてどの程度のリスクまで受け入れられるのかを明確にします。これが、どのような分散投資を行うかの基本となります。
  2. 各手法の特徴を理解する: ロボアドはどのように分散投資を行うのか、どのような資産に投資するのか。暗号資産にはどのような種類があり、どのようなリスクがあるのか。それぞれのメリット・デメリットを比較検討します。
  3. 少額から試してみる: 最初から大きな金額を投資するのではなく、失っても生活に影響しない範囲の「余裕資金」で、まずは少額から始めてみることをお勧めします。これにより、実際の運用を経験しながら、分散投資の効果やリスクを体感することができます。
  4. 手数料やコストにも注意する: ロボアドの運用手数料や、暗号資産取引時の手数料なども、長期的な運用成果に影響します。分散投資の効果だけでなく、これらのコストも比較検討することが重要です。
  5. 定期的に運用状況を確認する: 投資対象の値動きによって、ポートフォリオの分散バランスが崩れることがあります。特に、ロボアドは自動でリバランス(崩れたバランスを調整すること)を行ってくれますが、暗号資産などを自分で組み入れる場合は、定期的にポートフォリオ全体を確認し、必要に応じて調整を検討することも大切です。
  6. 元本保証はないことを理解する: 分散投資はリスクを軽減する手段ですが、元本が保証されるわけではありません。投資した資産の価値が下落し、損失が発生する可能性は常にあります。

まとめ

テクノロジーを活用した資産運用は、分散投資の考え方を効果的に取り入れるための有力な選択肢を提供します。ロボアドは、投資初心者にとって手間なく多様な資産クラスへ分散投資を行うための優れたツールです。一方、暗号資産は、高い変動性を持ちつつも、他の資産クラスとは異なる動きをする可能性があり、ポートフォリオの一部に組み入れることで全体の分散効果を高める可能性も秘めています。

しかし、いずれのテクノロジー投資においても、分散投資を行ってもリスクがゼロになるわけではありません。ご自身の投資目的、リスク許容度、そしてそれぞれの仕組みやリスクを十分に理解した上で、どのような分散投資を行うかを慎重に検討することが重要です。

「次世代資産運用ガイド」では、今後もテクノロジーを活用した様々な資産形成手法に関する、客観的で信頼できる情報を提供してまいります。ご自身の資産形成に、ぜひお役立てください。