ロボアド・暗号資産の運用状況をチェックする方法と売却時の考え方
テクノロジーを活用した資産形成として、ロボアドや暗号資産への投資を始められた方もいらっしゃるかと思います。投資を開始した後の疑問として、「自分の資産が今どうなっているのか、どうやって見れば良いのか」「いつ売れば良いのか」といった点を多くの方が抱かれるかもしれません。
この記事では、ロボアドや暗号資産といったテクノロジーを活用した資産運用において、日々の運用状況を確認する方法や、資産を売却する際の考え方について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
運用状況を確認する:どこを見て、何を理解すべきか
投資を始めたら、定期的に運用状況を確認することは重要です。ただし、頻繁に見すぎると市場の短期的な変動に一喜一憂し、冷静な判断を失う可能性もあります。ご自身の投資スタイルや目標に合わせて、無理のない頻度で確認することをおすすめします。
確認するべき主な項目は、投資方法によって異なります。
ロボアドバイザーの場合
ロボアドバイザーは、運用に関する報告や機能が比較的整備されています。一般的には、以下の項目を確認できます。
- ポートフォリオの状況:
- 現在どのような資産(国内外の株式、債券、不動産投資信託など)に、どのような割合で投資されているかを確認できます。
- 多くのロボアドは、市場の状況に応じて自動的にポートフォリオのバランスを調整(リバランス)してくれますが、その実施状況や意図が説明されている場合があります。
- 評価額と損益:
- 投資した元本に対して、現在の資産がいくらの価値になっているか(評価額)を確認できます。
- 元本からの増減が損益として表示されます。一般的には、まだ売却していない含み損益(含み益または含み損)として示されます。
- 運用レポート:
- 定期的に、運用状況や市場環境、今後の運用方針などに関するレポートが提供される場合があります。これにより、専門家による見解を参考に、ご自身の運用を俯瞰できます。
- 手数料:
- 運用にかかっている手数料(多くは運用資産額に対する一定割合)を確認できます。コストはリターンに影響するため、把握しておくことが重要です。
ロボアドの管理画面や提供されるレポートを確認することで、現在の資産配分や評価額、過去からの推移などを把握できます。
暗号資産の場合
暗号資産投資では、主に利用している暗号資産取引所のプラットフォームやアプリを通じて状況を確認します。
- 保有資産一覧:
- 現在保有している暗号資産の種類と数量、それぞれの現在の市場価格、そして合計の評価額を確認できます。
- 損益:
- 取得価格に対する現在の価格に基づいた損益(含み損益)が表示されます。取引所によっては、特定の暗号資産ごとの損益や、全体の損益が表示されます。
- 価格チャート:
- 過去からの価格の推移をグラフで確認できます。これにより、価格が上昇傾向にあるか、下落傾向にあるかといった大まかなトレンドを把握できます。ただし、価格変動は非常に大きい点に注意が必要です。
- 取引履歴:
- 過去に行った購入や売却などの取引記録を確認できます。これは、特に税金計算を行う際に重要になります。
暗号資産市場は24時間365日変動しており、価格の変動が大きいため、情報を頻繁に確認しすぎると精神的な負担になることもあります。ご自身の投資計画に基づき、冷静に状況を見守ることが大切です。
資産を売却する:出口戦略の考え方
投資において「いつ売るか」は、「いつ買うか」と同様に重要な判断です。これを「出口戦略」と呼ぶことがあります。明確な出口戦略を持たずに投資を始めると、市場の変動に惑わされ、意図しないタイミングで売却してしまうリスクがあります。
出口戦略を考える上で、以下のような視点が役立ちます。
1. 投資目標を達成した場合
投資を始めた際に設定した目標(例:〇年後に〇円を貯める、特定のライフイベント資金)を達成した場合、そこで運用益を確定させるという考え方があります。目標金額に達したら、必要額を売却するというように、具体的な基準を設けておくと判断しやすくなります。
2. ポートフォリオの見直しや変更が必要になった場合
ご自身のライフプランやリスク許容度が変化した場合、投資対象やポートフォリオの見直しが必要になることがあります。その結果として、保有資産の一部または全部を売却し、新しい資産配分に変更するという判断が考えられます。ロボアドによっては、目標金額や運用期間の設定変更に応じて、自動的にポートフォリオの見直しやそれに伴う資産の調整を行うものもあります。
3. リスクを管理する場合
市場が過熱していると感じる場合や、特定の資産価格が大きく高騰した場合に、利益の一部を確定させてリスクを低減するという考え方もあります。特に価格変動の大きい暗号資産においては、リスク管理の観点から定期的に利益を確定させる戦略を取る方もいらっしゃいます。
4. 他に資金が必要になった場合
想定外の出費が発生したり、より優先度の高い資金ニーズが生じたりした場合、保有資産を売却して資金を確保することがあります。ただし、その際の市場価格によっては元本割れとなる可能性もあるため、緊急資金は投資資金とは別に確保しておくことが推奨されます。
売却時の注意点
- 税金: 投資で得た利益(譲渡所得)には税金がかかります。特に暗号資産の場合、売却して利益が出た場合だけでなく、他の暗号資産との交換や、暗号資産で商品を購入した場合にも課税対象となることがあります。税金の計算方法や申告の要否は、利益額や他の所得によって異なりますので、ご自身で確認し、必要であれば専門家に相談することが重要です。ロボアドによる運用で得た利益は、特定口座を利用していれば税金計算や申告を運用会社が行ってくれる場合がほとんどです。
- 手数料: 売却時にも手数料がかかる場合があります。事前に手数料体系を確認しておきましょう。
運用中に考慮すべきこと:長期投資の視点
テクノロジーを活用した資産運用、特にロボアドによる分散投資や、暗号資産の長期的な成長に期待する投資においては、短期的な価格変動に動揺せず、当初の投資計画に基づいて長期的な視点を保つことが重要です。
市場は常に変動するものであり、価格が下落する時期も必ずあります。そのような時に慌てて売却するのではなく、なぜその資産に投資したのか、長期的な目標は何だったのかを思い出し、冷静に状況を見極めることが大切です。
まとめ
ロボアドや暗号資産といったテクノロジー投資の運用状況は、それぞれのプラットフォームを通じて確認できます。見るべきポイントは、ポートフォリオ、評価額、損益などです。確認頻度はご自身のスタイルに合わせて決めましょう。
また、投資で利益を確定させるための「出口戦略」は、投資目標の達成、ポートフォリオの見直し、リスク管理といった観点から事前に考えておくことが有効です。売却時には税金や手数料といった費用も考慮する必要があります。
投資は感情に左右されず、計画に基づいた冷静な判断が成功の鍵となります。この記事が、皆様のテクノロジーを活用した資産形成の一助となれば幸いです。